Thursday, April 5, 2018

エレベーター・ガール

会社でのエレベーターなんだけどね
ロビーで待ってるわけよ。来るのを。
結構待つの。なんだかいつも。
で、人も集まって来たのよ。

その中に一際キャピキャピ感が際立ってる女子が二人
もうずーーっと喋ってるの。

お喋りがノリノリ。 二人の世界に入ってて、もうあれだね、箸が転がってもおかしいってお年頃ね。

それでね、
あのね、
だからね、
マジで?
うっそーー
ウケる〜〜


で、だいぶ待たされてやっと来たエレベーターに乗り込んだのよ。

キャピキャピ女子の一人も入ってきたんだけど、
あれ? もう一人は??

エレベーターの外でまだ喋ってる。

乗らないのね。


で、ドアが閉まりそうになったら外の子が手をかざしてエレベーターのドア止めるの。

えーー???? 乗らないんでしょ????

エレベーターのドアがまた開いてさ、
お喋りも開催よ。


まぁさ、若いしさ、伝えたいことがあったんだなぁってね。
こっちもいい大人だし、しょうがないなぁ 青春だなぁ
って最初は思ったのよ。


で、2回目ドアが閉まりそうになった時に
また手をかざして止めやがった。


ちょっとちょっとちょっとちょっとちょっと!!!!


エレベーター内は結構な混雑だからさ、
結構って言っても5、6人だけど、あの小部屋に6人もいたらそれなりに混雑
そんな環境に押し込められてたらそろそろ閉所恐怖症で
あたしを出して!!!早くして!!!って発狂する人が出てもおかしくないのよ。

でね、これだけここに閉じ込められてるとそのうち恋が芽生えるかもしれないの。

でもパッと見渡しても男子は年配ぎみのおっちゃんただ一人だけ。
他の乗客とこのおっちゃんを取り合うドラマが始まるのかしら・・・

腕力なら負けないと思う。
ファッションモデル並みのか細いお姉ちゃんたちには体当たりで勝てるわ。
この巨体に全力をこめて座ってやるわ!

でもね、そこまでして勝ち取ったヒロインの座も色褪せるくらい待たされてる・・・
妄想が一巡りしてジ・エンドになるくらい待たされてるの。

このキャピキャピ小娘らめ!


今この枯れかかったおっちゃんを妄想で取り合ったエレベーター内の同志たちもイライラし始めてるの。

いい加減にしろよ〜〜〜ってみんなが言いたそう。

で、3回目にドアが閉まりそうになってるのに外側のお姉ちゃんの手はセンサーを遮るようにかざしたままなの。
こいつらまだ話す気だなぁ・・・


そう思っていたその瞬間に!!!

枯れたおっちゃんがハイタッチのごとくかざしてある手をポーンとたたいて
エレベーターの外に追い出した!


唖然とするお姉ちゃんを置き去りにドアはストンと閉まり、
私たちはそれぞれ無事に目指すフロアへと旅立ったのです。


残された方のキャピキャピ娘も目を丸々としてるし、
他の同志も全員枯れ親父に注目。

なのに、今何か起こった?
って言いそうにすましてるの。

西部劇のエンディングテーマが聞こえてきたと思うの。
おっちゃんは馬に乗って夕日に消えるように無言で降りてったわ。



こんな大人に私はなりたい


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